堤防で釣りをしていて、皆さんから一番多く質問されるのが『アタリ』についてです。

このページでは、私が堤防の落とし込み釣りで体験したアタリと、船から行なう落とし込み釣りで体験したアタリについてご紹介します。

結論を先に申し上げると、堤防・テトラ・磯におけるアタリの出方と、人間の気配を感じない場所に生息する黒鯛を狙う、船から行なう落とし込み釣りにおけるアタリの出方は全く一緒となります。


■アタリの種類について(私が調べたデータ)

道糸が止まるアタリ=全体の70%

道糸が1~2cm入いり、その後、止まるアタリに変化する=全体の20%

道糸が横に動くアタリ=全体の5%

道糸を引き込むアタリ=全体の5%


■こんな体験、ありませんか?

底釣において、エサが着底したので、竿を上げたら偶然にも黒鯛がヒットした。

タナ釣りにおいて、エサがカラスガイの層に引っかかってしまったので、竿を上げたら偶然にも黒鯛がヒットした。

この時、皆さんは思うはず!
竿を上げたら黒鯛が掛かっていた「ラッキー!」、でも「いつアタリがあったのだろ~?」と・・・。

しかし、これは表現は誤りで、実際は、『止まるアタリ』が出たから釣れたのです。
釣り雑誌には『ストップアタリ・居食い』と表現されています。


上のコメントでは仕掛けを上げたから魚がヒットしましたが、この時、仕掛けを上げなかったらどうなるのでしょう?

答えは3通りあり、
⇒エサを潰され、吐き出されて終わり。 (魚の活性状態により吐き出す割合が変化します)
⇒魚がエサをくわえたまま、その場から動かない。
⇒黒鯛が泳ぎ出し、道糸にアタリがでる。 (ゆっくり動く場合もあれば、サーっと動く場合もある)



■止まるアタリとは?

下図が、道糸に『止まるアタリ』が出た瞬間の状態です。


  


が、道糸にタルミを持たせながらエサを落としている状態です。

が、道糸を張りながらエサを落としている状態です。

③④が、道糸に『止まるアタリ』が出た瞬間の状態です。


■なぜ黒鯛のアタリは『止まるアタリ』が多いのか?

黒鯛の泳ぎ方を見ていてわかった事ですが、どうらや黒鯛は、泳ぎを静止した状態でエサに異常がないかを見定めた後、捕食する習慣があるように感じます。


黒鯛はエサ(ゴハン)を発見すると、そのエサに向かって猛スピードでダッシュします。
その後の行動は2通りあります。

□その1:[エサの1~2cm手前で急停止]⇒ [静止状態]⇒ [エサを見つめ]⇒
       ⇒[安心と感じた瞬間、1~2cm前に移動]⇒ [口を開き、エサをパクリとくわえる]⇒ END

□その2:[急停止と同時にエサをくわえている]⇒ END

ご注意:エサの前で急停止した瞬間の、黒鯛とエサの距離について
上文で『1~2cm手前で急停止』と記載しましたが、状況によっては2~10cm手前で急停止する事もあります。

印象的には、エサに違和感を感じた時には、2~10cm手前で急停止するように感じます。


■黒鯛がエサを見つめる時間

黒鯛は水面から落下して来たエサを見つめ、安全か?人間の罠か?を判断します。

通常は0.5~1秒ほど見つめてエサをパクリ。

急停止と同時にパクリ。(意外と多い)

不自然な動きや不自然な落下スピードに警戒している時は、1~3秒考えてからパクリ。

人間のワナと感じた時は、エサに対し色々な警戒行動を取る。

*不思議な事は、静止しないでエサをくわえて泳いでゆく黒鯛はかなり少ないです。



□エサに違和感を感じた時、吐き出すまでの時間について

見える黒鯛が、エサをくわえた後に吐き出すまでの時間を調査したところ、平均1.5秒前後でした。

この数値は、漁師生活をしている時に調べたデータではなく、遊漁船の仕事をはじめてから、お客様が投入したエサを見ていてわかった事です。

但し、その日の活性で吐き出すまでの時間が違うようで、活性が良い場合は、エサをくわえている時間が2~4秒と長いように感じます。
もちろん、エサに違和感を感じていない黒鯛はエサをくわえたままとなります。

エサをくわえる瞬間のイメージは、口を開き、極普通にパクリとくわえます。

この時、水流を利用してエサを吸い込むような行動ではなく、
エサの手前で静止後、エサまでの距離を前進しエサをくわえるように見えます。

そして、違和感を感じた時には、口を開き、口の中から水流で押し出されるように、エサの残骸が出てきます。
この時、カラスガイは潰さずに出てくる場合もあります。

ちなみに、カニエサについても同様に、吐き出された時に潰されずに生きた状態で戻ってくることがあります。
過去、3回体験しました。



□黒鯛の警戒行動

エサに警戒し、捕食行動を取らない黒鯛の行動を見ていてわかった事ですが、どうやら黒鯛にはハリとハリスが見えているようです。

そして、人間の罠と判断した瞬間、色々な行動に移ります。

その行動とは、
 [エサを見つめたまま動かない]、
  [Uターンしてその場から離れる(ゆっくり離れる場合もあれば、急いで離れる場合もある)]、
   [ハリスを避けながら、スーっと水中に向かってにゆっくりと泳いでゆく]です。



□急停止すると同時にエサをくわえる黒鯛の心理(捕食行動その2の説明)

急停止と同時にエサくわえる黒鯛の心理は良くわかりません。
但し、エサに違和感を抱いた黒鯛はスグに吐き出します。

ではなぜ、エサをくわえたのに吐き出すのか?
 [落下して来たエサに警戒心を抱かなかったから?]、
  [エサをいち早くくわえないと海中に沈んでしまうから?]、
   [カニエサを使用した場合、カラスガイの隙間に逃げられ危険性があるから?]、

カラスガイを使用した場合もこの行動をします。
カラスガイなら堤防に一杯付着しているのに!
それに、エサを潰さないことが良くあるには何故?

それとも、黒鯛はエサをくわえた瞬間に唇に感じるハリスを感じているから?

それとも、エサを噛んだ瞬間にハリやガンダマの硬い噛みごたえを感じたから?

その理由は黒鯛の動きを見ていても全くわかりません。
いずれにせよ、黒鯛は賢いとゆう事ですね!


■黒鯛のアタリを確実に取る方法

黒鯛のアタリは、道糸の変化で『アタリ』と判断できないものが多い事から、落とし込み釣では、道糸に違和感を感じたら『聞きアワセ』を行なう事で『アタリか?別の要因なのか?』を判断します。

聞きアワセの動作は、竿先を5~30cm程度持ち上げ、道糸をピーンと張った時に感じる重さで黒鯛か別の要因かを判断します。
この時、道糸に重さを感じたらアワセを行ないます。 


□聞きアワセの行動は頭で考えることなく行なう秘訣

黒鯛がエサをくわえて吐き出すまでの時間は、平均0.5~2秒と一瞬です。

道糸に違和感を感じた時、「アレ? アタリかな~」と考えている時間はありません。

基本的には頭で考えてから手を動かすのではなく、違和感を感じた瞬間に手を動かすように、自分の脳にあらかじめ行動を指示しておく必要があります。

この事により、道糸に違和感を感じた瞬間、勝手に竿を持つ手が『聞きアワセ』の行動をしてくれるようになります。


参考文章:黒鯛がエサをくわえても、道糸は動いている!

漁師で生活していた頃、黒鯛の止まるアタリが出た瞬間、絶妙な聞きアワセをしているのにもかかわらずエサを潰されることが時々ありました。
自分の反射神経的には、最速で完璧の聞きアワセと思っていても潰されることがあるので、その理由を知りたいと思っていました。

遊漁船の仕事を始め、お客様の投入した仕掛けとエサをくわえる瞬間の黒鯛の行動を見ていて、長年の謎がわかってきました。

なんと、黒鯛がエサをくわえた瞬間も、道糸が1秒ぐらい沈み続けてしまうので、絶妙の聞きアワセをしても1秒ぐらい遅れて聞きアワセをしていることになってしまうのです。

         


正式な時間は計ったことはありませんが、印象的には1秒ぐらい道糸が沈み続けます。
その後、道糸に止まるアタリが出る状態となります。

この時、ヨリモドシは使用していませんので、ハリスやミチイトに沈もうとする力が働いているので、その惰性が1秒ぐらい続いてしまうのだと思います。

また、ガンダマを軽くし、ゆっくり落としている場合は0.5秒ぐらいの時間となりますが、重くしては早めに落としている時は1秒ぐらいの惰性が付きます。

この現象は水面下1~1.5m付近でエサをく捕食する黒鯛での時間です。
水深が深いとどうなるのかは不明ですので、興味がある方は実験してみてください。
なんか、理科の授業みたいですね!

とゆうことで、止まるアタリが出たら速攻で聞きアワセをするクセを付けないと、エサを潰される回数が増えるとゆう事です。

釣り場でエサを潰される事が多い方は、道糸の怪しい変化で聞きアワセをする回数を増やし、聞きアワセのタイミングも早くされることをお勧めします。

ちなみに、船頭をしながらお客様の仕掛けを見ているので、
時々、「食った!」とか、「オカシイ!」、とか、「食ってるんじゃないの?」なんて声を出しちゃいます。

で、お客さまが仕掛けを上げるとヒットする!
で、「やだな~、俺が釣らせてあげたみたいじゃない!」なんてチクチク言いながら大笑いしています。 アハハ・・・