「2~3m外れた場所に仕掛けを再投入する」は、いかに効率良く黒鯛の近くにエサを落とすかを考えた釣り方です。
考え方としては、エサを基準に半径1m以内にいる黒鯛は、「食い気があれば、上から落ちて来るエサに対し高確率で反応し捕食する」と言う、黒鯛の習性を利用した攻め方となります。
この考えを基に探り方を考えると、2~3m間隔で堤防を探る事により、堤防全体、水面付近から海底付近までをキッチリ探ることができるとの結論になります。
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黒鯛が水面から落ちて来るエサに反応する範囲は、今までの調査である程度明らかになっています。(私の実験データ)
それは、黒鯛を中心とする半径1m以内にエサを落せは、高確率で反応するとの事。
そして、最大2mぐらいまではエサを追う事がわかっていますが、追わない魚もいるので、基本的には1m以内であれば反応するとの表現を使っています。
面白い現象としては、黒鯛の後方(尾ビレ側)に落ちるエサにも反応する事です。
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とゆうことは、黒鯛は、半径1m以内の上方向から落ちてくる物が全て見えているとゆう事。
もちろん死角はあるだろうし、黒鯛の身体より下方向のエサについては、どの程度見えているのかわかりません。
但し、黒鯛がエサに反応しない場合も多々あります。
それは、魚の活性が悪い場合、
人間の気配を感じた場合、
上から落ちてくるエサに不信感を抱いた場合(人間の罠である事を察知)、
カラスガイの層に顔を向けガリガリしている場合などがあります。
また、私が黒鯛に近づいても全く反応しない魚もおり、目の前20~30cmの場所にエサをそ~っと落しても見向きもされない事があります。
逆に、人間が落したエサに警戒しサッと逃げる魚や、スーっと海底に沈んで行く(泳いで行く)魚もいます。
よって、食い気のある黒鯛と人間の罠である事に気付いていない黒鯛は、1m前後離れた場所に落下するエサに反応し捕食するとの結論になります。
参考:落し込み釣りの不思議
私が落し込み釣りを始めた当初より、2~3m間隔で堤防を探る釣り方は、
『ホントに黒鯛との出会いを増やすことができる釣り方なのか?』について、長年疑問を感じていました。
それは、私が落し込み釣りを覚えた野島堤防では『約8割の魚が底周辺でヒットする』との話を、この釣りをはじめた当初師匠から聞いていたからです。
そして経験を重ねる事で私も一人前の落し込み師となり、このヒットする水深の割合は私の体験とも一致します。
しかし、「この割合は間違いない」と確信すると同時に、心の中では、『効率の良い攻め方をすると底周辺にエサが漂う時間が少なすぎる』との疑問が膨れ上がりました。
例えば、仕掛けを2~3m間隔で落す方法で堤防を1時間探り続けた場合、底周辺にエサが漂う時間は10~15分ぐらい。
それ以外の45~50分の釣りは無駄とゆう事になります。
この時間配分を常識的に考えると、底周辺でのヒット率が約8割なのだから、底周辺にエサを漂わせる時間を30~40分ぐらいにした方が釣れる確立が増すと、誰しもが考えるはずです。
ではなぜ、落し込み釣では『2~3m間隔で堤防を探る釣り方』を推奨するのでしょうか?
その謎は、黒鯛の捕食行動を理解する事により明らかになります。
この図は、黒鯛がエサ発見し捕食するまでの行動を表しています。
黒鯛はエサを発見すると、素早くエサに急接近し捕食行動に移ります。
エサの発見が早ければ海面方向に向かって泳ぎ、発見が遅れれば海底方向へ向かって泳ぎます。
また、発見したエサをなんの躊躇もなくパクリとくわえる事もあれば、エサの前で急停止し、目の前のエサに異常がないか確認してからパクリとくわえるケースもあります。
この時の黒鯛の行動を見ていると面白い泳ぎ方に気付きます。
それは、エサを発見した瞬間、エサに向かって猛突進する事です。
そして黒鯛はエサの目の前で胸ビレを広げ旧停止、口を空けエサをパクリとくわえます。
但し、エサに不信感を抱いた時にはくわえる行動を取らず、エサを1~5秒程度見つめ、安全か危険かを見定めてから次の行動に移ります。
安全と思った場合は、エサを再び追い掛けパクリとくわえますが、
危険と思った場合は、その場に静止したまま動かなくなったり、
沈んで行くエサを頭を下げながら見つめているだけだったり、
そのエサやハリスを避けて泳ぎ去ったり、
Uターンして逃げるようにその場を去ったりと色々な行動をとります。
この様に、黒鯛の捕食行動は静止している状態で行なわれることが多いので、釣り人の竿にはアタリが伝わるのではなく、道糸に止まるアタリがでます。
そして、その止まるアタリに気付かずにいると、竿を上げたら魚がヒットしていたり、エサを潰されたり、道糸が動いたり、竿に振動が伝わったりします。
この黒鯛の捕食行動で明らかになる事は、エサを追い始める瞬間から捕食するまでの時間に統一性がない事です。
なので、表層から中層に生息する黒鯛が海底付近までエサを追い掛け、最終的にエサを捕食する可能性が多いに考えられます。
以上の理由により、底付近で黒鯛が釣れた場合、釣れた黒鯛がどの水深に生息していた魚なのか判断する事ができないとの結論になります。
よって、2~3m間隔で堤防を探れば、堤防全体の、水面付近から底付近に生息する黒鯛を一通り探る事ができる』との結論となります。
これが落し込み釣りの基本的な探り方の理論であり、その理論を把握する事により、釣り方に迷うことなく探り歩くことができると思います。
そうそう。
この釣り方を確立した先代の釣り師には頭が下がります。
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