『聞きアワセ』という表現は、短竿を使った黒鯛の落とし込み釣り特有のものです。
関東の黒鯛はアタリと判断できないようなエサのくわえ方をし、尚且つ、違和感のあるエサは吐き出します。
この時、ラインにわかりやすい変化が出れば良いのですが、実際は”アレ?”と言った感じのものばかりです。
その微妙なアタリの中で、最も発生率の高いのが『止まるアタリ』です。
このアタリは、アタリ全体の70%ほどを占める為、ラインに違和感を感じたら『聞きアワセ』を行い、
『アタリなのか? 別の要因なのか? 勘違いなのか?』を判断する必要があります。
まずは本題に入る前に、黒鯛のアタリについての認識を改めてもらいましょう。
その昔、師匠の1番弟子であるYOSIさんと、釣り仲間の忘年会でお会いした時、
黒鯛のアタリの事が話題になりましたので、この時の会話をご披露しましょう。
![]() ![]() ■YOSIさんのコメント 落し込み釣りで黒鯛を狙う場合のアタリは、”アタリだ”と確信できるものは少ないよ! 「アタリだ!」と言うよりは、「アレ?」と思う感じかな〜。 普通の状態とは違う、不自然なミチイトの変化が黒鯛のアタリ。 だから、アタリだと思ってあわせることは殆ど無いね〜。 「アレ?」のアタリだから、 『黒鯛なのか?』、『根ガカリなのか?』が、わからないから聞きアワセをするんだよ!」 その他にも、『風でミチイトが引っ張られたのか?』、『波の影響でエサの沈み方が一瞬遅くなったのか?』、 それとも、『底の根にエサが引っ掛かって、潮でラインが引っ張れているのか?』など、色々な要因があるんだよね! それを判断する場合にも、聞きアワセを行ないチェックするんだよ! そして聞きアワセをした時、ラインを通して竿に重さが伝われば黒鯛か根がかりだ! 黒鯛のアタリは、この様に訳のわからないものばかりだから、「アレ?」と思ったら聞きアワセをするクセを身につけなければならない。 ネエッ! タムラさんもそう思うでしょ? ■続けてYOSIさんの会話 聞きアワセは、アワセって言葉を使っているから、竿を上に「サッ」と持ち上げてあわせるようなイメージがあるけど、実際は竿を少し持ち上げるだけだね! 2.7〜3mの短竿の場合、 上げる幅はヘチ狙いと沖目狙いとで異なるけど、ヘチ狙いの場合は30〜50cmぐらいかな〜? 4.5〜5.4mの長竿で沖目を狙った場合は、 仕掛を流す方向で聞きアワセの幅が変わり、1〜3m竿を持ち上げ、仕掛けを大きく手前に寄せて来る場合もあれば、30〜50cm竿を持ち上げ小刻みに探る場合もある。 なので、どのような聞きアワセをするかはケースバイケースだね! そうそう、 聞きアワセで黒鯛がヒットした瞬間は、黒鯛がヒットしたと言うより、”根ガカリしちゃった”と言う感じだね! この時、頭の中では、「動け・動け」って言っている。(^o^) 近くに仲間がいれば、絶対一緒に声をだすね! 「動け! たのむ動いてくれ!」って、アハハ・・・ 動いた瞬間は最高だよ! 周りの仲間も「動いたね!」と大笑いだから・・・ でも、動かなかった時は根ガカリだから悲しいけどね! でもさ、5秒以上動かなかった魚がノソノソと動き出す時もあるから2,3秒で諦めちゃうのはダメだよ! 最低アワセを入れた状態で5秒は待つべきだね! 落し込み釣りでは黒鯛がこんな感じでヒットするので、聞きアワセの際、根ガカリしただけで心臓がキュンとなる。 アハハ・・・ そうそう、良く堤防で魚がヒットしているのに根ガカリしたと勘違いして竿をビシビシとあおっていたら、急に根ガカリが動き出してビックリしている釣り人を見かけるよね! 見ていると笑っちゃうけど、この釣りに慣れていない方は勘違いして当然だと思うよ! それは、底でヒットした黒鯛は、はじめノソノソとゆっくり泳いでいるからね! 大きくなればなるほど、泳ぎがゆっくりだし、ヒットした瞬間全く動かない魚も多いからね! だから根ガカリと勘違いして当然だね! それと、落し込み釣りでは”ビシッ”って感じのアワセをしないから、”釣れた”というより、”釣れちゃった”という表現が正しいかもね! 黒鯛の落し込み釣りは、他の釣りと違い、アタリがあったらアワセルというスタイルじゃないから難しいんだよね! ラインがオカシイと思った時、とっさに聞きアワセが『できるか・できないか』で釣果に差が出るから面白いんじゃないかな〜。 皆が簡単に釣れたら黒鯛釣りなんて面白くないからね! 鯛と言う文字が付く魚だけど、真鯛と違って食べても決して美味しい魚じゃないからね〜。 そうそう、アタリが出た時、ビシってアワセをすることが多いのは福の神丸に乗船した時だけだよ! ![]() |
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■落とし込み釣りで『聞きアワセ』を行う場面は4通りあります。 |
@アタリの判断を行う際、エサを少し持ち上げる動作。(これが今回の議題) 「アタリか?」 「根ガカリか?」 「風の影響か?」 「波のウネリの影響なのか?」 「それとも別の要因なのか?」を判断する為、仕掛けを少し上げる行為を”聞く”と言います。 |
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C着底したエサを潮に乗せて上下にピョコタンしながら流す際、仕掛けを10cm〜2m上げる動作。 |
表現を変えると、あらゆる場面で仕掛けを上げる行動を『聞きアワセ』の動作で行います。